山崎医師より

山﨑直也 医師
国立がん研究センター中央病院
皮膚腫瘍科 科長
山﨑直也 医師


「Over The Rainbow」を応援します。

2013年8月28日にOver The Rainbowが発足するまでメラノーマ(悪性黒色腫)には患者会というものがありませんでした。

メラノーマは白人の病気と言われ、日本では希少がんのひとつと位置づけされた患者さんの数が少ない病気です。そのため注目されることが少なかったり、雑多な情報はあるものの、正しい情報が伝わりにくく、悪性度の高いことだけが誇張され、間違った解釈や根拠のない言い伝えがひとり歩きすることもしばしばで、私たち医療関係者も悩んだり困ったりしていました。患者さんたちも同じだったと思います。

もちろん油断のできないがんですが、まず必要なことはメラノーマという相手をよく知ることです。その上で有効で安全な武器をできるだけ手にいれてその相手に立ち向かうことがとても大切です。

幸いなことに2014年7月に世界で初めて日本で悪性黒色腫に対する画期的な新薬オプジーボが承認されたことをはじめとして、次々に新薬が開発されメラノーマの治療は大きく様変わりし進歩が続いています。手術技術も進歩し、以前に比べて体への影響の少ない手術で治る方が増えています。放射線治療も同様です。かつてメラノーマは放射線治療の効かないがんの代表でした。でも今は違います。新しい放射線治療技術の開発や承認された新薬との組み合わせによって放射線治療の効果は格段によくなりました。

メラノーマ診療の進歩が今ほど急速な時代はありません。

このような変化の中、医師がひとりでできることは限られており、メラノーマのチーム医療や研究グループとしての活動は年々盛んになってきています。

患者さんも同じです。皆さんの力や思いの結集が大きな変化や更なる進歩を生み出します。私たちは「Over The Rainbow」を応援しています。